広尾の住宅
ここが東京のど真ん中とは思えないぐらい、森のような庭の中にNさんのお宅とアパートはありました。Nさんと90歳を越えるおかあさんは私を暖かく迎え入れてくれました。 計画は、住宅とアパートの建て直し。資金は、100坪を越える土地の一部を売却し残りはアパート経営で返済する。資金計画からのスタート。 Nさんのおかあさんは、打ち合わせの途中で私の手帳をとって、白いページにボールペンで円を描きました。全ておまかせすると。涙が出るほどうれしかった。 計画は、途中で挫折しそうになりました。バブルの崩壊。実施設計を終了し確認申請を提出するころ、まだ土地が売れない。価格がどんどん下がっていく。紹介した不動産屋から連絡が入り、やっと買い手がつく。 しかし、土地の価格は当初の計画の70%まで落ち込んでいました。売却する土地の面積を増やし、計画を縮小する。敷地面積は当初の計画の20%減、タイルの外壁はコンクリートの打ち放しに変更。実施図面を全て書き直し、確認申請。その後は順調にいき、工事着工、上棟式。Nさんのおかあさんは、不自由な体を押すように上棟式に出席してくれました。よかったな〜、あのときほんとに喜んでくれて。建物は、2階・3階をそれぞれ階段室と水廻りをコアとする大小2つの賃貸マンションとし、1階をNさん宅としています。完成以来、いまだ入居が絶えたことがありません。 |
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有限会社 匠デザイン工房 一級建築士事務所 |
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